私が好きな3つのローグライクゲーム
このエントリは「かみやパパからはじまる Advent Calendar 2018 - Adventar」17日目に向けて書かれた記事です。
通りすがりの山田です。
本日お送りするのは「私が好きな3つのローグライク」となりますが、その実ローグライクについて徒然と綴っていく内容となります。
ローグライクとは
そもそもローグライクとはなんぞやと思われる方も多いと思います。最近はわりと自然に使われることも多い単語ですが、スーファミ世代的には「不思議のダンジョン」「トルネコ・シレン風」と言えば通じやすいかもしれません。英語で書くとRoguelike、~likeは~風のという意味ですから、そのままRogue風のゲームと言う意味になります。
Rogueが登場したのは1980年、UNIXのターミナルで遊べるダンジョンRPGとして開発されました。今でもそのクローンゲームが様々な機種に移植され遊べる様になっています。このRogueの特徴を濃淡はあれ受け継いでいるゲームがローグライクと称されるのです。
とはいえ、ローグらしさというものに明確な定義があるわけではなく、ローグのどの特徴を受け継いでいるかもゲームによって様々です。今となっては全てのローグライクに通じる「何か」を見出すことは難しいでしょう。その中でも、多くのローグライクに共通する要素をいくつか挙げてみます。
参考:ベルリン解釈(Berlin Interpretation - RogueBasin)
- ランダムダンジョン
舌の根も乾かぬうちに言いますが、ほぼ全てのローグライクに備わっている要素の一つです。ダンジョンがないものであっても、環境・舞台など、何らかの要素がランダムに生成されることが殆どです。プログラム的には少ないデータでゲーム幅を広げることができるのでリプレイ性を持たせることができます。またランダムの中にも癖やパターンを設けることで攻略性を高める。逆に、詰みになる状況や、理不尽な難易度が生まれてしまうかもしれません。
- シームレス戦闘
一般のRPGではマップの探索と戦闘の画面が切り替わるものが多いですが、Rogueでは敵は画面で常に見えており、マップ上で移動と戦闘が同じ選択肢として存在しています。まあこの要素だけを取り出してローグライクとする例はほぼないですが。
- パーマネントデス
Rogueでの冒険は1度きりです。1度死んでしまえば全てを失い、あとに残るのは墓標と記録(スコア)のみです。どんな強力な、希少なアイテムも抱えて死ねば無意味です。あまり初心者にはウケのいい要素ではないため、いわゆる倉庫やステータス継続といった救済措置が備わっていたりするゲームも多いです。逆に、自らの腕試し、知識や経験こそが力となるゲーム性に惹かれる挑戦者にはよい緊張感をもたらすでしょう。近年では、スコアに応じて要素がアンロックされる折中システムも増えています。
- ターン制
将棋やチェスのように、自分が何か1つ行動をしたら、敵も1回行動を行うシステムです。速度差などが導入され1対1とはならない場合もありますが、基本的には自分の行動1回毎に状況が変わり、手を打つことができるものとすればいいでしょう。ローグライクの適用が広がりアクションやシューティングやリアルタイムストラテジーなども出てきたので、ターン制でないものも増えてきています。
このあたりからはRogueの要素ではあるが、最近のローグライクとしてはあまり見かけない要素の紹介です。
- キャラクタベース
本家のRogueはグラフィックがなく全て文字で表現されます。例えばドラゴンはD、吸血鬼はV、アイテムも種類に応じて文字が割り当てられています。マップも文字で描かれていて、ゲーム画面はアスキーアートのようなものだと思ってください。ちなみにプレイヤーは@です。Rogueの直系のローグライクはキャラクタベースのものが多く、同時に画像に切り替えられるようなものも多かった。
- アイテムの自由度
Rogueはアイテムの使い方の自由度が高い。飲む、投げる、読むといったコマンドが別々に用意されており、それぞれのアイテムに適用することができます。例えマイナスアイテムであっても別の使い方をすれば有利になったりする。飲めば混乱する薬も敵に投げれば混乱させられる。
- リソース管理
ローグライクの攻略には時間制限が設けられている場合がある。代表的なものでは、空腹度によって定期的な食料を必要とし、摂取できなければ圧倒的に不利なペナルティを受ける(ほぼ死と同義)。そのため入手できるアイテム、持ち運べるアイテムには制限がかかってしまう。上のアイテムの自由度も伴って、必要なアイテム、いざという時に使うアイテム、あれば便利なアイテムの取捨選択が悩ましいという特徴がある。
ローグライクの変遷
1980年代から90年代にはRogueのフォロワーとしていくつものローグライクがつくられました。ファンタジーやSFの要素を加え、世界観を強めたり、職業・種族・クエストなどのゲームシステムを強化されていきました。この頃のローグライクは、個人またはグループによるオープンソース開発が主流で、フリーソフトとして公開されていたり、独自の改造を加えたバリアントもたくさん出ていました。
2000年代から主流のローグライク(とそのバリアント)とは別にワンアイデアや要素を絞った軽いローグライクが作られるようになり、7日でローグライクをつくる7DRLとイベントが開催されています。
10年代に入りそれまでのローグライクとは違った、グラフィックメイン・リアルタイム要素のあるものも増えてきました。そんな若干Rogue要素が薄いローグライクはローグライト(とかローグライクライク)と呼ばれたりもします。この頃には、はじめから有償ソフトとして発表されるようになってきています。それでも、もとのRogueよろしく必要な開発リソースが少ないことから、インディーズのゲームとして開発されるものが多い印象です。
日本では、トルネコ・シレンのイメージが強かった時期が長かったですが、最近ではローグライクという言葉自体の認知度も上がり、普通に使用されるようになってきてい(るように感じ)ます。
また、ボードゲームでも限られたコンポーネントでリプレイ性を高めるという意味で、ローグライクに通じる何かが含まれるゲームは少なくないのではないでしょうか。(突然のボドゲ要素)
私が好きな3つのローグライクゲーム
驚きましたか、ここからが本題です。
NetHack 3.6.1: NetHack Home Page
(日本語版)JNetHack Project
Rogue直系のローグライクHackの進化版。D&D的な要素を盛り込み、種族・職業・属性を選び、迷宮の底の下にある地獄の底を目指す。特筆するのは病的なまでの作り込み、やたら限定的な状況に対しても特別なメッセージが用意されていたりする。アイテムの使い方も多様で、複数の使い道があるアイテムや一見何に使うかがわからないアイテムがたくさんある。クレジットカード*1、コカトリスの死体*2、タオル*3、一体何に使うかわかりますか?
システム面も、オリジナルのものから別のゲームから取り込んだものまで様々にあり、ゲームの要素の大抵のものはNethackにあるといっても過言ではない。
ストーリーは一直線なもののいくつかのチェックポイントがあり、最後までメリハリのある内容となっている。慣れれば1周10時間程度でクリアできるようになる*4。
かなり複雑なゲームにはなっていますが、遊ぶたびに新しい発見ができることでしょう。
最初のHackが出たのが1984年であり、そこから2003年頃*5までは度々バージョンアップが行われていたが、そこから音沙汰がなくなっていました。しかし、2015年に突如として12年ぶりのバージョンアップが行われ、山田界隈で騒然となりました。
ちなみに、こっそり自白しますがNethack大王を作ったのは山田です。
- ω-Labyrinth
(音注意)https://www.d3p.co.jp/omegalabyrinth/
トルネコシリーズから派生した演出や画像に重点を置いた流れの作品。難易度は易しめで、成長要素もあり初心者への救済措置も厚い。高難度ダンジョンはいわゆる本編終了後が本番と言われる類のもの。間口を広げてやりこみ度もある良作なのだが、基本的に全ておっぱいがもっていく。
続編も出て次回作も発表されています。某ゆらいだりしてる温泉のアレも同じところが作っています。
- Monolith
こちらでも長々と書いていますが弾幕STG+ローグライクの、新しいローグライク枠。
もともとSTGのローグライクのリソース管理は近しいものがあって*6、見つけた瞬間しか拾えないアイテムや危険と見返りを天秤にかける寄り道など、常に選択を迫るローグライクとテクニックと経験と気合が物を言うSTGのベストマッチな作品。そう書いて上の記事を読み返したらだいたい同じことが書いてあった。
ローグライクとしてもうひとつ注目したいのは、ダンジョン生成に使われる乱数シードを設定できること。これによって、同じシードなら全く同じダンジョンが生成されることになる。ローグライクゲームとしては夢の未来予知プレイができたり、固定ダンジョンによるタイムアタック、スコアアタックができる。
以上、やたらと特定のジャンルに傾倒した17日目でした。